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平成22年度 最優秀・優秀作品発表
 各部門最優秀作の中から最優秀グランプリを発表いたします。
俳句の部
うちあけるひとがゐない冬の蛇口
   京都府長岡京市●御中 虫●30歳代・女性●テーマ:季節
寸評

五七五のリズムを、あえて崩すことによる不安定な韻律が、そのまま一句の主体の内面を表している。心を許せる人を見出しにくい、猜疑心の時代を生きる若者の孤独が、末尾にぽつりと置かれた「冬の蛇口」に形象化される。

川柳の部
もういいか共に白髪がはえたから
  千葉県佐倉市●萩原直美●60歳代・女性●テーマ:愛
寸評 「共白髪まで」は、夫婦となった男女の理想。この一句、そこまで長生きしたのだから、という自足の思いでしょうか。それとも、ここまで我慢をしたのだからという反逆への願望でしょうか。「もういいか」なかなか深長な措辞です。
短歌の部
すれちがう 人をしずかな 落葉と
おもう枯葉を 踏みしだくとき
  和歌山県和歌山市●土橋磨由未●30歳代・女性●テーマ:季節
寸評 人と自然の繊細な気配が抜群です。下句への句またがりはやや稚拙ですが、かえってそれがナイーブな魅力ともなっています。
自由詩の部
お天とうさん日をお貸せ
山あいのまことに日の出の遅い村だった
― お天とうさん日をお貸せ 晩げん返すで日をお貸せ
祖母は歌いながら毎朝
私の手をひいてお日さんを迎えにいった
山の端が染まりはじめると合掌をして必ずこう言った
この世のものすべて天からの借り物
だいじに使わんとな
命もお返しする日までだいじにするのだぞ
村じゅうがお日さまをいっぱい浴びて
芳ばしい干し草のにおいがする
  静岡県島田市●井上尚美●60歳代・女性●テーマ:愛
寸評 「お天とうさん日をお貸せ」と呼びかけ「晩げん返すで日をお貸せ」と約束する切なさが心をうつ。この作品は、山間、日陰の集落に生活する人々の真摯な生活感情を見事に定着している。この生活感情は古代人にも共通する普遍性をもっているので感動をよびおこすのである。